「高木阿波子?!」
高橋姉帰の顔から笑みが消え、目を見開いて、声を詰まらせながら言った。「あなたが言っているその人は、高木阿波子なの?」
「ええ、彼女も今日こちらで用事があって、たまたま同じホテルにいるんです。もうすぐ来ますよ。彼女に来てもらって、みんなに会ってもらいましょう。ちょうど証人になってもらえば、あなたが'W'の人間で、私たちを騙していないことが証明できますから」
この言葉を聞いて、みんなの興味が再び掻き立てられた。
眼鏡の男の言葉で、高橋姉帰の話が本当とは限らないことに気付いた。
彼女は自分が'W'の人間だと言っているのに、内部のルール変更も知らないなんて、むしろ部外者のように見える。本当のことを言っているのかどうか、誰にも分からない。
「異議がなければ、彼女を呼びに行きますが」眼鏡の男は眼鏡を上げ、立ち上がろうとした時、高橋姉帰に止められた。