高橋姉帰は胸を押さえ、最初は衝撃を受け、すぐに後悔に変わった。
池村琴子に負けたのも当然だ。誰が池村琴子が「W」の管理者だと想像できただろうか。
「仙、お前...本当にその『W』のリーダーなのか?」鈴木正男は心の準備をしていたものの、直接聞いた時は信じられなかった。
以前は適当に推測していただけで、心の中では期待していなかった。
この姪は行方不明になってから苦労してきたのに、まさかこんな身分を持っているとは。
高橋敬一はこの話を聞いて、眉間にしわを寄せた。
「だから高木朝子を収監できたんだな。」
高木家の勢力では、高木財源は必ず娘を守ろうとするはずだ。もし何らかの力が働いていなければ、高木朝子は収監されることは難しかっただろう。彼は以前は山本正博が彼女を助けていると思っていたが、実は彼女自身が自分を助けていたのだった。
池村琴子は眉を上げ、彼を軽く見つめた。「高木朝子は罪に値する。私が『W』のメンバーかどうかは関係ない。」
「以前、組織は私の師匠のものでした。その時『W』という名前ではありませんでした。後に規模が拡大し、私自身の事務所のメンバーも加わって、名前を変更しました。」ここまで話して、池村琴子は無意識に山本正博を見た。
山本正博がいなければ、彼女はおそらく師匠への後ろめたさを抱えたまま、前に進めずにいただろう。
山本正博は彼女が「W」をよく管理していると言った。この数年間、法律を守り、お金を受け取って仕事をするとはいえ、正当な仕事をしてきた。
従業員のことを考えなければ、「W」の実力があれば何でもできたはずだが、この数年間、「W」のメンバーは、人としても仕事としても控えめに行動し、全国で特別な影響力を形成してきた。これは彼女と仲間たちの功績だった。
もし彼が引き継いでいたら、おそらくこの静けさは破られていただろう。
池村琴子もそれに同意し、山本正博の謙遜に対して、辞退することはなかった。
「もう一つ。」池村琴子は皆を見て、率直に微笑んだ。「私は山本正博と新たに始めたいと思います。」
場内は静まり返った。
誰もがこの展開を予想していたものの、この突然の発言に誰も反応できなかった。