「正男、仙が皆が揃ってから話すと言ったでしょう。もうしつこく聞かないで」鈴木羽は弟を不機嫌そうに見た。
彼女も気になっていたが、少なくとも我慢はできていた。
池村琴子は叔父を見て微笑んだ。「三兄が来るのを待ちましょう」
彼女が「W」組織のトップであることは大きな出来事であり、喜ばしいことでもあった。
山本正博が「W」を放棄して以来、彼女の心の中の結び目もほどけた。
以前は組織が自分のものではないと感じ、師匠に申し訳なく思い、また組織が悪人の手に落ちることを恐れていた。
山本正博は組織の運営は得意ではなく、父の遺産を継ぐつもりもないと言い、彼女に安心して管理するよう任せた。
以前の組織は完全に彼女のものではなかったが、今では表向きにも内々にも、彼女は完全に「W」を引き継ぐことができた。