第431章 賭をしましょう

横山紫は歯を食いしばり、顔色が青くなったり白くなったりした。

松田柔子は何でも持っている上に、山本社長の父親からの信物まで持っている。どう考えても「W」と繋がりを持てるはずなのに、自分といえば山崎三郎というコネ以外何も持っていない。

「可乃子さん、最初にあなたが私を探してきたんですよ。後始末の責任を取るべきでは...」もし松田柔子が積極的に声をかけてこなかったら、山本正博に組織を任せられるなんて言わなかったら、私も山崎三郎に会いに行くリスクは冒さなかった。

山崎三郎は彼女の上司で、このコネは将来の大事な時のために取っておきたかったのに。彼女は苦心して松田柔子のために橋渡しをしたのに、最後にこんな結果になってしまった。

「そうよ!私があなたを探したわ。でも私たちはパートナーでしょう?栄えるも共に、傷つくも共に。誠治がこんなことをするなんて誰が想像できたでしょう...」

そのことを考えると、松田柔子は歯ぎしりするほど腹が立ち、目は腫れ上がっていた。

木村勝一は意図的に彼女たちを弄んでいたのだ。

「今あなたに後始末を頼まれても、私自身の問題すら解決できないのよ」そう言って、松田柔子は不満げに彼女を見つめた。「もしあなたが記者の前で私が大物を知っていると言わなかったら、私はこんなに惨めな目には遭わなかったはず。私に聞くなら、私の方があなたに聞きたいわ。私があなたの後始末をするなら、誰が私の後始末をしてくれるの?大物の件で、あなたが解決できるの?結局この件はあなたの欲深さが原因でしょう。そうでなければ私を手伝うこともなかったはず。これは双方の合意の上でのことよ。全ての責任を私に押し付けないで。私は背負いきれないわ。」

松田柔子は容赦なく言い放ち、横山紫の両頬は真っ赤に染まり、唇と顎は興奮で震えていた。

この件は順調に進んでいたのに、全て松田柔子が自分で台無しにしたのだ。池村琴子に喧嘩を売るなんて。

彼女は池村琴子に何度も痛い目に遭わされ、自分が彼女の相手ではないことを知っていた。それ以来、池村琴子がいる場所は可能な限り避けていた。

この松田柔子は、後ろ盾があるというだけで調子に乗ってあの女に喧嘩を売り、こんな結果になったのも当然だ。

横山紫の心はすぐに落ち着きを取り戻した。