高橋敬一は目を光らせ、ハンドルを握る手をゆっくりと締めた。
「お兄さん?」高橋姉帰は恐る恐る呼びかけた。
前回以来、高橋家の人々は二番目の兄以外、彼女がこの世界から消えてしまえばいいと思っていた。
高橋敬一も彼女に失望し、退学させた。
彼女は黙って高橋敬一が全てを取り上げるのを見ていた、何の波風も立てずに。
「お兄さん、申し訳ありません。これからは...自分でお金を稼ぎます。もうあなたに迷惑はかけません」高橋姉帰は死人のような顔で、無理に笑って言った。「安心してください、お兄さん。私は足はありませんが、手はあります。自分で生きていけます」
最初、高橋敬一は彼女が冗談を言っているのだと思っていたが、後になって彼女が本当に真剣に仕事を探していることに気付いた。
彼女はネットカフェで受付の仕事を見つけた。