その言葉は皆の目を覚ましたかのようだった。
こんなに早く釈放されたということは、警察が既に調査を終えたということだ。
池村琴子はまぶたがピクリと動き、目が急に痛くなった。
「警察は屋上の監視カメラを確認した」山本正博の声は淡々としていて、まるで自分とは無関係な事を話しているかのようだった。
彼の深い眼差しは、池村琴子に向けられたまま離れなかった。
池村琴子は口を開きかけたが、胸が詰まる思いだった。
監視カメラを確認して彼を釈放したということは、この件は彼とは無関係だということだ。
彼女は目を伏せ、自分に近づいてくる山本正博の足を見つめながら、罪悪感が湧き上がってきた。
「話がある」
山本正博の声は暗く低く、明らかに感情を抑えていた。
鈴木羽が何か言おうとしたが、鈴木愛に引き止められ、軽く首を振られた。