もし彼が鈴木愛と寝てしまったのならまだしも、それもできず、高橋仙にその場で暴かれてしまった。
高橋仙に「W」を任せ続けたら、次に懲らしめられるのは間違いなく彼だ!
「W」組織か……
誰が心動かされないだろうか?
正博のような恋愛脳だけが、「W」を手放して、彼女の影の男になることを望むのだろう。
彼は正博ではない。
以前は「W」の根源を知らなかったからいいものの、知ってしまった以上、必ず「W」を手に入れなければならない!
「譲り渡すか?」木村爺さんは目を細め、しばらく考え込んだ。「彼女は自ら譲り渡すだろうか?」
「W」が関わる範囲は広すぎる、ほとんど金と名誉の象徴だ。
普通の人なら誰でも、簡単には手放せないだろう。
高橋仙に譲り渡させる、それが可能だろうか?
木村誠治は何気なく笑って言った:「『W』はもともと父のものだ、つまり木村家の財産だ。」