「しかし、私たち木村家のものは返してもらわないといけませんね。例えば……」木村誠治は言葉を引き延ばした。「あの組織です。」
また組織を返せという話だ。
この家族は、まともな人間が一人もいない。
池村琴子は地面に落ちているゴールドカードを指差した。「それが師匠が残した組織です。すべてこのカードの中にあります。東京最大の財産委託会社に聞けばわかります。」
木村誠治は眉を上げ、彼女が「W」組織をこんなに簡単に手放すとは思っていなかったようだ。
しかし次の瞬間、池村琴子は続けた。「師匠が創立したのは『J』組織で、私が創立したのは『W』組織です。間違えないでくださいね。」
二つの組織?
木村誠治は瞳孔を縮ませ、明らかにこんな展開を予想していなかった。
木村誠治が何か言おうとした時、山本正博の鋭い視線で止められた。「木村誠治、木村家に返すべきものは返したんだ。それ以外の欲しがるべきでないものは、欲張るな。」