第465章 あなたはただの他人

高橋敬一は怒り心頭で、暴走族を追いかけていった。

それは彼が大金を払って買ったものだ。この連中に盗まれるわけにはいかない。

中身の価値を考えると、高橋敬一の足はさらに速くなった。

おそらく通行人を避けるためか、通勤ラッシュで人と車が多かったため、バイクに乗った連中も速度を落とし、行き止まりの路地に入っていった。

バイクには二人が乗っていて、逃げ切れないと悟ると、バイクを放り出し、刀を取り出して高橋敬一と対峙した。

「若いのに動きが良いじゃないか、追いついてくるとはな」バイクの男はヘルメットを脱ぎ、乱れた赤髪を見せながら、ゆっくりとタバコを吸い始めた。

「物を返せ」高橋敬一は手を差し出した。「お前らが欲しいのは金だろう。二百万円払う」

「二百万円か...」赤髪は仲間と目を合わせた。「二百万円は確かに少なくないが、俺たちには足りないな。二百万円も出せるってことは、この物はそれ以上の価値があるってことだろ?」

「まあいい、二千万円にしよう。もう駆け引きはやめだ。ほら、ここに振り込め」赤髪はポケットからカードを取り出した。「振り込むなら振り込め。嫌なら、今日は死ぬまで戦うぞ!」

「兄貴、これじゃ俺たちの正体が...」隣の黒髪の男が袖を引っ張って小声で言った。「もし金を振り込んだ後で警察に通報されたら...」

「俺をバカにしてるのか?こいつは大学生って感じだろ。振り込みの速さなら俺の方が上だ」赤髪は自信満々に唇を鳴らし、スマートフォンで振り込みをしている高橋敬一に向かって言った。「早くしろ、早く!見てるぞ!」

高橋敬一は振り込みを済ませ、記録を見せた。

「振り込んだ」

「おいおい、二千万円も小銭感覚で振り込めるとは、こいつ金持ちの坊ちゃんじゃないか。さっきは安く見積もりすぎたな」赤髪は目を細め、高橋敬一の警告的な視線の中、箱を振りながら言った。「もう二千万円振り込め」

高橋敬一は激怒し、近くの木の棒を手に取って彼らに向かって歩き出した。「物を返せ。さもないと、お前らと心中する」

「お、おい...近づくな!」二人は彼に脅かされ、大刀を振り回した。

しかし高橋敬一は怒りで正気を失ったかのように、棒を振りかざして彼らに向かっていった。

「止めろ!」冷たい一喝が響き、その場にいた全員が一瞬凍りついた。