高橋敬一は怒り心頭で、暴走族を追いかけていった。
それは彼が大金を払って買ったものだ。この連中に盗まれるわけにはいかない。
中身の価値を考えると、高橋敬一の足はさらに速くなった。
おそらく通行人を避けるためか、通勤ラッシュで人と車が多かったため、バイクに乗った連中も速度を落とし、行き止まりの路地に入っていった。
バイクには二人が乗っていて、逃げ切れないと悟ると、バイクを放り出し、刀を取り出して高橋敬一と対峙した。
「若いのに動きが良いじゃないか、追いついてくるとはな」バイクの男はヘルメットを脱ぎ、乱れた赤髪を見せながら、ゆっくりとタバコを吸い始めた。
「物を返せ」高橋敬一は手を差し出した。「お前らが欲しいのは金だろう。二百万円払う」
「二百万円か...」赤髪は仲間と目を合わせた。「二百万円は確かに少なくないが、俺たちには足りないな。二百万円も出せるってことは、この物はそれ以上の価値があるってことだろ?」
「まあいい、二千万円にしよう。もう駆け引きはやめだ。ほら、ここに振り込め」赤髪はポケットからカードを取り出した。「振り込むなら振り込め。嫌なら、今日は死ぬまで戦うぞ!」
「兄貴、これじゃ俺たちの正体が...」隣の黒髪の男が袖を引っ張って小声で言った。「もし金を振り込んだ後で警察に通報されたら...」
「俺をバカにしてるのか?こいつは大学生って感じだろ。振り込みの速さなら俺の方が上だ」赤髪は自信満々に唇を鳴らし、スマートフォンで振り込みをしている高橋敬一に向かって言った。「早くしろ、早く!見てるぞ!」
高橋敬一は振り込みを済ませ、記録を見せた。
「振り込んだ」
「おいおい、二千万円も小銭感覚で振り込めるとは、こいつ金持ちの坊ちゃんじゃないか。さっきは安く見積もりすぎたな」赤髪は目を細め、高橋敬一の警告的な視線の中、箱を振りながら言った。「もう二千万円振り込め」
高橋敬一は激怒し、近くの木の棒を手に取って彼らに向かって歩き出した。「物を返せ。さもないと、お前らと心中する」
「お、おい...近づくな!」二人は彼に脅かされ、大刀を振り回した。
しかし高橋敬一は怒りで正気を失ったかのように、棒を振りかざして彼らに向かっていった。
「止めろ!」冷たい一喝が響き、その場にいた全員が一瞬凍りついた。