以前の件で、近藤金山はずっと老人たちの中で顔を上げられなかった。
信じたくないわけではなく、もう信じる勇気がなかったのだ。
このバカ息子は、自分が病気だと知って、わざと喜ばせようとしているのかもしれない。
「私の上司は忙しいです」近藤正明は即座に否定した。
しかし次の瞬間、池村琴子の優しい声が割り込んできた。「時間はありますよ」
その場は一瞬にして静まり返った。
「なぜ来たんだ?」近藤正明は眉をひそめ、明らかに動揺していた。
池村琴子は返事をせず、まっすぐ病床に向かい、近藤金山に向かって身を屈めて言った。「おじさん、私は'W'の管理者です。近藤正明は'W'での呼び名は六郎で、この数年間、確かに'W'で働いています。彼はあなたを騙してはいません」
近藤金山は少し驚き、池村琴子を上から下まで見つめた。