第516章 恥を知らないのか

高木財源の皮肉めいた言葉は少し耳障りで、渡辺義広は無表情のまま、陰鬱な瞳がより一層漆黒になった。

高橋敬一は表面上は保証したが、実際にはまだ彼を疑っていた。

彼は高橋敬一の疑いを晴らす方法を考えなければならなかった。

「あの高橋仙がずっと邪魔をしていて、それに高橋敬一は彼女に対して罪悪感を持っていて、今は償おうとしているらしい。今回プロジェクトを獲得できなければ、高橋敬一はもう君たちを助けないだろう」

高木財源の言葉が再び彼に注意を促した。

「償う?なら償えないようにしてやればいい……」

渡辺義広は不気味に笑った。

償いは傷が癒えつつあるからこそ。でも、もしその傷がもっと大きくなったら?

信頼は一度失うと、取り戻すのは難しい。

高橋仙と高橋敬一の間の信頼は、彼がもう一押しすれば、完全に崩壊するだろう。