「私と彼のプライベートなことに、あなたたちが口を出す権利なんてないでしょう?」山口念の声が響くと、周囲は一瞬静まり返った。
南條夜が凛とした姿勢で立っているのを見て、山口念はほっと胸をなでおろした。
間に合ってよかった。
「山口念、あなたが彼を追いかけていた時、彼はあなたを見向きもしなかったことを私たちは覚えていますよ。こんなに彼を守るなんて、まだ未練があるということですか?」
「そうよ山口念、二度目の恋なんて犬だってしないわ。私たちはあなたのために憤慨しているのよ。」
……
パパラッチたちは口々に、一見山口念のために話しているようで、実は一言一言が南條夜への攻撃だった。
山口念のバックには手を出せない。松田柔子さえも手を出せない人物だ。彼らのような小さな記者たちは、山口念に多少の面子は立てなければならなかった。