第559章 救いの藁

「うん、事が成功したら、お金を手に入れて国外に逃げましょう。その時は高木財源と高橋家の人たちに争わせて、私たち三人で静かな生活を送りましょう」

高橋姉帰は良い考えを持っていた。お金さえ手に入れば逃げられる。その時、日本の警察が真相を突き止めても、彼女には手出しができないだろう。

そして今、人命を背負い、彼女は常に恐怖に怯えていた。

彼女はこの環境から逃げ出したかった。

「そういえば、松田柔子はどうだった?私たちを手伝ってくれる?」高橋姉帰は渡辺義広に連れて行かれた松田柔子のことを思い出した。

彼女は松田柔子との協力に賛成ではなかったが、今は選択の余地がなかった。

進展を早めることができるなら、何でも構わなかった。

松田柔子のことを考えると、渡辺義広の目が暗くなり、怒りが込み上げてきた。「あの女は手伝う気がなく、むしろ諦めろと言ってきた」