一方の福田家では、お婆様がこのニュースを聞いて、その場で気を失ってしまった。
目覚めた後の最初の行動は、福田章と木村由美の婚約を解消するよう要求することだったが、福田章には特に取り柄もなく、福田家の将来は自動車工学産業に進出したいと考えており、木村家の力も必要だったため、この件は一旦保留とした。
……
その時、唐沢行のオフィスでは。
加藤恋は先ほど起きた全ての出来事を知り、唐沢行の仕事ぶりをますます評価していた。
「あなたのような人材は、きっと多くの企業が引き抜きを狙っているでしょうね」加藤恋は微笑みながら唐沢行を見つめた。「あなたの仕事の進め方が気に入りました。今日からは何かあれば直接私に相談してください。必要なことは可能な限り対応します」
「加藤社長、ありがとうございます」唐沢行は淡々と返答した。この突然就任した社長についても、時間をかけて理解する必要があると考えていた。