010 家族会議

福田章は冷笑いを浮かべた。「今さら何を良い人ぶってるんだ？加藤恋なんて福田家の人でもなんでもない。ただのゴミだ」

加藤恋は福田隼人の袖を引っ張り、小声で言った。「大丈夫です。まだ若いから、気にしないでください。まずはお婆様の話を聞きましょう」

福田隼人はようやく落ち着いたものの、表情は最悪で、福田章には目もくれなかった。この瞬間、加藤恋を連れてここから出て行きたいと思った。

一方、福田桐子は思わず笑いそうになった。二人の兄が犬同士の喧嘩を始めるなんて信じられなかった。

5分後、福田のお婆様が到着し、家族会議が正式に始まった。

加藤恋は目立たない場所に座ろうとしたが、思いがけず福田隼人が気遣って椅子を引いてくれ、彼女は彼の隣に座ることになった。

「ありがとう...」加藤恋は小さな声で言い、耳まで赤くなってしまった。