011 立ち上がった

福田のお婆様は少し驚いていた。建設業界に最初に携わった次男の福田鐵が、この任務を快く引き受けるどころか、こんな弱気な発言をするとは思いもよらなかった。

福田鐵の心中はさらに苦しかった。家業を継ぐチャンスが目の前にあるのに、自分に本当にできるのかどうかわからないという一言で、このチャンスを逃してしまうかもしれない。

しかし、これは到底完遂できない任務だった。今や木村家との関係が深いため、セイソウリキグループの人々は彼がグループに入る前に、すぐに追い出すかもしれない。

そうなれば木村家のように完全にセイソウリキの敵となり、恥をかくのは自分自身だ。今の木村家が嘲笑されている様子を見れば、福田鐵はどうしてもこの件を引き受けられないと決意した。

福田鐵の様子を見て、福田のお婆様は無奈く首を振り、そして尋ねた。「他の者は?我が福田家の子供たちの中で、この時に立ち上がれる者は一人もいないのか?」