051 ボスと話す

その時、福田嘉と中村慧は大きな門の前に立っていた。福田嘉は中村慧に、カジノでの彼らの行為、人々を騙す手口、さらには詐欺の手法までを生き生きと説明していた。

一方、中村慧は高慢な表情で、時折その門から誰が出てくるのかを窺っていた。今日は福田隼人の母親の前で自分をアピールする絶好の機会だと知っていた。加藤恋もいて、幼なじみの雲原静が雲原家に戻ってきたこのタイミングで、彼女はこの機会を逃すわけにはいかなかった。

目の前のこの女性さえ味方につければ、福田隼人を手に入れることなど造作もないはずだ。

そうすれば、福田家は商売で、中村家は政界で、東京で風雲児となれる。そう考えただけで、中村慧は興奮を抑えられなかった。

「まさか、この人たちが雲原家のカジノよりも酷いなんて!本当にひどすぎます!おばさま、ご安心ください。必ずオーナーから説明を求めさせていただきます!」