中年の男性は金糸の眼鏡を押し上げ、知的な印象を与えていたが、その眼差しには威厳が漂い、軽視できない存在感を放っていた。
東京の重要人物たちがその場にいれば、この人物が誰なのか必ず分かっただろう。
彼こそが橋本様だ!
東京の裏社会で天皇のような存在で、誰も敵に回そうとは思わない!
橋本様はカードを受け取り、満足げに頷いた。「石川、お前にそんな手腕があったとは、素晴らしい、本当に素晴らしい!」
石川春は笑みを浮かべながら答えた。「全て森様のご指導のおかげです。ギャンブラーの心理を掴めば、こんなに稼げるとは思いませんでした。ただ、最近一部の人々が集まって騒ぎを起こしているので、何とかしなければなりません。」
「そんな連中は放っておけ。ギャンブルにはリスクが伴うということを分からせるべきだ。もし不安なら、もっと多くの人間を派遣してやろう。」
「ありがとうございます、橋本様!」石川春は喜びを隠しきれなかったが、表面上は冷静さを保とうと努めた。「そうおっしゃっていただけると、心強いです。ご存知の通り、雲原家が長年ギャンブル事業を牛耳ってきましたが、私もようやくこのチャンスを掴んだので、簡単には手放せません。これからは一緒に儲けましょう。」
石川春には特別な家柄も背景もなく、東京で足場を固められたのは純粋に個人の能力によるものだった。幸い、彼は頭の回転が速く、小賢しいところがあった。
彼は元々カジノを開きたかったのだが、雲原の爺さんが東京にいなくても孫息子と孫娘を派遣して監視させていた。最初は収益が惨めなものだったが、橋本様が天から舞い降りてきたように助けの手を差し伸べ、彼はこのチャンスを掴み、この人物の庇護を得ることができた。
橋本様の真の身分は分からなかったが、東京で威風堂々と振る舞う様子を見て、石川春はこの人物が確実に自分のビジネスを守ってくれると確信していた。
まさに橋本様という後ろ盾があったからこそ、何の心配もなく様々な種類のギャンブルを展開でき、ビジネスは順風満帆だった。
石川春が得意げにしている時、部下から突然電話がかかってきた。その一言目から彼の不機嫌を誘った。「社長、店で問題が起きました!」