「君が新しいモデルなの?スタイルもなかなかいいじゃない。RCにいても将来性がないわ。うちに来たほうがいいわよ、きっと前途有望よ」
中間尚は加藤恋を上から下まで品定めするように見つめていた。こんな女性が自分の会社に入ってくれば、必ず近づいていくだろう。この夏川梅はなかなか人を見る目があるな、こんな美人をモデルに選んだなんて。もし今ここに人が大勢いなければ、すぐにでもアプローチするところだった。結局のところ、彼のような金持ち二世を断る人なんていないし、ましてや加藤恋は彼から見れば単なる小さなモデルに過ぎない。お金のある人についていくに決まっているし、彼のような家柄の人と繋がれるチャンスなんて、喜んで飛びつくはずだ。
加藤恋は中間尚を軽く一瞥して、「そんなことを言うということは、斎藤さんが私たちRCのリメイクを気に入って、謝罪したくないと思っているんじゃないですか?」
加藤恋の挑発的な言葉を聞いて、中間尚の目に興奮の色が浮かんだ。その後、わざとらしく真面目な表情で嘲笑った。「私たちXYは4ヶ月かけて作ったウェディングドレスよ。たった一晩で粗製乱造したものでお客様の心を掴めると思うの?面白いわね」
しかし意外にも加藤恋は顎を上げ、斎藤玲香が必ず彼女のデザインしたウェディングドレスを気に入るという確信に満ちた様子を見せた。それがかえって中間尚の征服欲を掻き立てた。
「じゃあ賭けをしましょう。もし斎藤さんがあなたたちのドレスを気に入ったら、私が皆の前であなたたちRCに謝罪します。もし私が勝ったら、あなたは私たちXYのウェディングドレスモデルになってもらいます!」
中間尚は勝ち誇ったような表情を浮かべ、小林雪は不安そうに加藤恋の側に寄って小声で尋ねた。「斎藤さんとこの人、もしかして仲間なんじゃ...」
加藤恋は彼女に安心するよう合図を送った。小林雪が斎藤家の人々を通じてセイソウリキの幹部と知り合いたがっていることは聞いていた。唐沢行を通じて、この斎藤の爺さんが東京でも顔が利く有力者だと知った。現在、斎藤部長は海外市場との連携を担当しており、会社の海外市場ニーズへの対応の他、アート作品の取引も行っており、東京のアート市場の一部にもセイソウリキグループの影響力が及んでいた。