120 挑発に来る

中間尚は数人の後ろにあるウェディングドレスを見つめながら、言葉に嫌味を込めて話した。彼らのXYはまもなく東京に進出する予定で、今回は父親が全てを彼に任せたのだ。こんなタイミングでこのような事が起きるとは思わなかったが、RCに目にものを見せる絶好の機会だ!

「お嬢様、まずはあなたのドレスを損なってしまったことを心からお詫び申し上げます。結婚式の追加費用とドレスの修正費用は、すべて当ホテルで負担させていただきます。結婚式も近いことですし、今このようなことにこだわる必要はありません。むしろ、私たちが特別にあなたのために改造したドレスをご覧になってはいかがでしょうか」

小林雪は眉をひそめながら前に出た。この斎藤さんは比較的話の分かるお客様だったのに、なぜか今日は突然このような態度になってしまった。

「この中間尚という人は私の昔の友人の息子で、浜町では少し名が通っています。家族もウェディングドレスのデザインを手がけていて、私たちのブランドのライバルです。彼の下には私の元部下も何人かいます」と夏川梅は加藤恋に小声で説明した。

小林雪が持ってきた椅子を見て、斎藤玲香は冷ややかな声を出しながらゆっくりと腰を下ろした。

加藤恋がRCのモデルだということを知っていて、さらに彼女がデザイン画を描いたことまで知っているなんて、夏川梅は思わず現在の部下たちを見つめた。リーダーとして最も恐れているのは、このような部下の存在だ。RCの動向をすぐに知ることができるということは、内部に裏切り者がいるに違いない。

加藤恋は目の前の中間尚を上から下まで観察し、このような派手な人物がデザイナーだとは思いもよらなかった。

「他のことは置いておいて、斎藤さんのドレスを無断で入手したことだけでもRCを著作権侵害で訴えることができますよ。もともとRCの評判は良くないのに、今度は私たちのアイデアまで盗むなんて、やり過ぎじゃないですか!」

中間尚が大げさに話すのを見て、加藤恋は自分のデザイン画を手に取った。「私たちは盗作していません。ドレスは修正のために預かっただけで、お客様の要望と基本デザインを元に簡単な調整を加え、最高の状態に仕上げただけです」