125 完全回復

礼堂内の騒ぎを聞いたのか、斎藤玲香は新郎の気持ちも構わず、直接礼堂に駆け込んだ。そこで床に屈み込んでいる斎藤の爺さんと、その傍らにいる加藤恋の姿を目にした。

「お爺さん!何をしているの!」斎藤玲香の悲鳴を聞いて、加藤恋は慌てて口を開いた。彼女が心配しないようにと。

「大丈夫よ、斎藤の爺さんはもう大丈夫。ちょっと体調を崩しただけで、今はもう問題ないわ。」

加藤恋が説明を終えて立ち上がろうとした時、別の女性の声が響いた。「まだ目を覚ましていないのに、なぜ嘘をつくの?あなたのような詐欺師が、人の命を賭けた冗談をどこまで耐えられるか、見てみたいわ。」

「皆様、ご安心ください。斎藤の爺さんの心拍は正常に戻っており、むしろ以前より体調が良くなっていることを保証できます。」松本瑞希は加藤恋を見つめた。これほど多くの人が彼女に偏見を持っているとは思わなかった。おそらく福田家での彼女の微妙な立場のせいで、今日彼女が斎藤の爺さんの命を救ったとしても、何も変わらないだろう。