139 手を差し伸べる

福田家を出た加藤恋は、むしろ気が楽になった。福田隼人が苦労して、あの人たちの対応をしなければならないのだから。

病院の入り口。

一人の子供が加藤恋の目を引いた。小さな斜めがけバッグを背負い、二つの大きな編み袋を抱えて苦労しながら前に進んでいた。ゴミを売りに行くようだった。

身長を見ると、五、六歳くらいで、その二つの編み袋は彼よりも背が高く、そのため一歩進むごとに苦労していた。

「おばちゃんは忙しいから、迷惑をかけちゃいけない!君は大きな子だから、弟の面倒を見なきゃ!おばちゃんの面倒も見なきゃ。」

子供は独り言を呟いていた。それを聞いた加藤恋は胸が痛んだ。その子供が必死に前に進もうとする姿を見て、幼い頃の自分を思い出した。

しかし子供の体はついにその力に耐えきれず、反射的に後ろに倒れ、二つの大きな編み袋の中の廃品が地面に散らばってしまった。