153 私はあなたを信じている

ドアに入るかどうか迷っていたところ、加藤恋の携帯が鳴り、なんと福田隼人からのメッセージだった。「事情は把握した。外にいるなら、今日は帰らないほうがいい」

このメッセージを見て、加藤恋はほっと息をつき、そのまま玄関の外へと向かった。

タクシーに乗ったところで、福田隼人から再びメッセージが届いた。「君を信じている。すでに調査して真相を明らかにするよう指示した」

温かい気持ちが加藤恋の心を包み、裏道を通って張本の叔父さんの病室へと向かった。

裏口に入ったとたん、二人の警察官と出くわした。

「加藤さん、お気をつけください」一人が前に出て、とても丁寧に挨拶をした。

「もう私のことを知っているんですね...」加藤恋は照れ笑いを浮かべた。「裏口にも警備がついているんですね?」

「加藤さん、今日不審者が騒ぎを起こしたんです。情報を受けて警備を強化しています。早くその男を捕まえないと、病院で何をするか分かりませんから」

「早く捕まえられるといいですね。そうでないと大変でしょう」

噂通り、加藤恋は全く威張った様子もなく、あの二人の子供たちを助けてくれたのだ。

加藤恋は歩きながら、頭の中で公選のことと雲原静が何をしようとしているのかを考えていた。

張本の叔父さんのいる階に着くと、加藤恋は廊下の端に立つ西の姿に気付いた。彼は窓台によじ登ろうとしていて、その小さな体は病院着に包まれていた。

彼女は近寄り、自然に腰を曲げて、彼の服とズボンの袖をまくり上げた。このいたずらっ子が裸足だったことに気付き、すぐに抱き上げた。

最初、西は体を縮めて抵抗していたが、加藤恋だと分かると緊張が解け、彼女の首に腕を回して外の往来を見続けた。

「西、お姉さんと一緒に部屋に戻りましょう。ちゃんと休まないといけないの」

加藤恋の言葉を聞いて、西は顔を向け、小さな体を加藤恋に寄り添わせた。加藤恋は喜びで胸がいっぱいになった。

「西、お姉さんが用意した本は読み終わった?」西は頷くように、加藤恋の体にすり寄った。

「じゃあ、明日新しい本を持ってきてもらうわね」東と西のために、齋藤秘書にまた走ってもらうしかないな。

西はまたすり寄り、さらに手を伸ばして加藤恋の頬に触れた。