154 彼を一口噛む

二人の子供を連れて霊安室の片隅に来た。ここは確かに病院の死角で、人通りは少なく、たとえ誰かが来ても遠くから一目見るだけですぐに立ち去ってしまう。

加藤恋は東を起こし、二人の子供の服装を整えた。襟元から裾まで、まるで自分の子供のように細かく気を配った。

ほんの少しの出会いだったが、彼女の心はこの二人の子供たちに愛着を感じていた。特に西は今まで一言も話さなかったが、その小さな心の中に自分の存在があることは確かだと感じていた。

「ママ、私たちと一緒に行かないの?」東が哀れっぽく彼女を見つめ、西は苺の鉢を抱きしめながら、まるで彼女に視線を釘付けにするかのように見つめていた。

「坊や、お姉さんは必ずまた会いに来るからね。西、お姉さんは苺が実るのを見られないけど、きっといつか花が咲いて実がなるわ。東、これはお姉さんの電話番号よ。必ず電話してね。」