188 福田元の誘い

彼からの電話だと分かると、秋山心は嫌そうな顔をした。この男のことは少しも好印象を持っていなかった。もちろん、福田元の目的も分かっていた。要するに彼に近づいて、何か言えない目的を達成しようとしているのだ。

まず、自分は男であり、福田元には全く興味がないので、すぐに電話を切った。

しかし福田元は諦めきれず、何度も電話をかけてきたため、秋山心は仕方なく電話に出て、女性の声で答えた。「お兄さん、何かご用でしょうか?」

唐沢行は手元の資料を見ていたが、トイレの前を通りかかった時に聞き覚えのある声が聞こえ、そして突然めまいがして倒れそうになった。

彼の脳裏に、ある場面が繰り返し浮かんでいた。成人したばかりの自分と...誰かの姿が。

「心お姉ちゃん、このドレス本当に似合ってるよ」