199 福田家の恥

福田隼人は答えず、ただ目を上げて田中涼を見つめた。その眼差しには怒りが隠しきれずに込められていた。まさかこんなことが起こるとは思わなかった。福田家がどれほど落ちぶれていようと、身体を売って利益を得るようなことはありえなかった。

「そんな目で見ないでよ。あなたのためを思ってのことよ。お金が払えないんでしょう?だったら体で返済すればいいじゃない!」田中涼は、福田隼人が抵抗できない様子を見て興奮気味に笑い声を上げ、すぐに両手を伸ばし、福田隼人の痩せた体に沿ってゆっくりと下していった。痩せて見えるのに、意外と筋肉があるじゃないの。

「バン!」突然ドアが勢いよく蹴り開けられ、腹の出た威圧的な男が数人のボディーガードを連れて駆け込んできた。

田中涼が福田隼人の服を脱がそうとしているのを見て、浅川礼都は激怒し、罵声を浴びせた。「この淫売め!お前は本当に淫売だ!」

昼間で外は日差しが眩しかったが、田中涼は驚いて冷や汗を流した。このデブがどうやってここを見つけたのか。

それに、彼女は早くから浅川礼都の側近を買収していて、彼が毎日どこに行き、誰と会うのか、全て把握していたはずだった。今日も彼が外出していることを知っていたからこそ、彼の名前を使って福田隼人を呼び出す勇気があったのに。

まさか彼が入ってきた途端に自分と福田隼人が一緒にいるところを見られるとは。田中涼は深く息を吸い、ゆっくりと言った。「浅川さん、説明させて。これはあなたが思っているようなことじゃないの!この男が...この男が体で借金を返すって言って、私を誘惑したのよ!」

浅川礼都は、真っ赤な顔をして、肌も赤くなり、鼻血を流している福田隼人を見て、もちろん何が起こったのか分かっていた。しかし、心の中の怒りは、この二人を許すことなどできなかった!

「くそっ!この不倫カップルめ、今日はどちらも逃がさんぞ。お前がこんな恥を晒せるとでも思っているのか!福田家がこんな恥を晒せると思っているのか!」浅川礼都が手を振ると、後ろのボディーガードたちが素早く動いて田中涼を捕まえた。

「誰も私に触れるんじゃない!」福田隼人の声は微かに震え、何かを必死に抑えているようだった。声を強めるにつれて、鼻血の出が激しくなった。