211 試合前の質疑応答

「綾子、大丈夫?」夏川晴海は顔色の悪い高橋綾子の方を振り向いて見た。加藤恋の一件が解決したと思えば今度は高橋綾子。こんなに重傷を負っていながら戻ってこられるなんて誰が想像できただろう。加藤恋の治療が間に合わなければ、今頃はまだ寝たきりだったかもしれない。

「少しは腕があるようね」高橋綾子は心の中で夏川晴海に対して少なからぬ嫌悪感を抱いていた。昨夜帰ってきた時、夏川晴海と加藤恋が一緒にいるのを見かけ、今日の加藤恋の顔色が悪いのは、きっと彼女が何かしたに違いないと思っていた。

「随分と自信満々のようね」夏川晴海は高橋綾子の様子を見て、彼女がこのコンテストを軽く考えているから、自分に挑発的な態度を取っているのだと思った。

「それでは出演者の皆様をご紹介いたします——」司会者の言葉とともに、全員が前に進み出て、順番に自己紹介をした後、白井景は高橋綾子の方を見た。