唐沢行から電話がかかってきたが、加藤恋は彼らとこれ以上関わりたくなかった。「信じるか信じないかはあなたたちの勝手です。今は本当に用事があるので、先に食べていてください」
そう言って加藤恋はカードを取り出した。「暗証番号は09134です。会計には十分足りるはずです。残りは店員さんのチップにしてください」
周りの驚いた視線の中、加藤恋はそのまま出て行き、唐沢行が指定した部屋に向かった。すでに二人が中にいた。
唐沢行と齋藤秘書以外に遊川の爺さんの姿はなく、しばらくすると上半身にスーツ、下半身に茶色のミニスカート、ハイヒールを履いた女性が入ってきた。
加藤恋は一目見ただけで、彼女が並の人物ではないことを悟ったが、表面には出さなかった。
「唐沢社長、お待ちの方が来られました」女性は唐沢行と齋藤秘書に頭を下げ、最後に加藤恋に視線を向けた。