夏川晴海が去っていく姿を見て、皆は羨ましそうな目を向けた。両山健は彼らを慰めることなく、続けて言った。「他の選手については、くじ引きでスタイルを決めることになります。皆さん、スタイルに従ってくじを引いてください—」
「私たちは他の人の残りものしか選べないってことじゃない...」安藤奈々は唇を噛みながら、心の中で不満を感じていた。
「前回もっと頑張っておけばよかった」別の若手タレントも後悔の念を抱いていた。
「もう終わりだわ...今回は絶対に終わりよ...」葉野言葉は手に持ったくじを見て、泣きそうになった。彼女は最も不得意な第二グループ、トレンドコーディネートを引いてしまったのだ。一体どうなることやら!
順位に従って女の子たちが次々とクローゼットに入ると、皆が感嘆の声を上げた。「すごい、これ超綺麗!このドレス限定品なのよ!私、何人もの人に頼んだけど手に入らなかったわ!」
「このシューズ、間違いないわよね!なんでこの服こんなに大きいの...あ、これって下着よね!なんで片方の靴下が見つからないの、長さも色も違うのに、本当に履けるの?」葉野言葉は顔色が青ざめていた。明らかに体調が回復して間もない様子だった。彼女は自分に言い聞かせた。慌ててはいけない、クローゼットにもカメラがあるのだから、自分の動きは全て撮影されているはずだ。
「葉野言葉!少し肌を見せるだけよ、恥ずかしがることないわ」そう考えながら、彼女は多くのアイテムを取り出し、出てきたところで安藤奈々と出くわした。
意外にも安藤奈々はにこやかに近づいてきて、すぐに声をかけた。「ゴちゃん、選び終わった?今回ヒップホップ系にするなんて思わなかったわ。普段のスタイルと全然違うわね。見てあげようか?このキャップは髪の毛を全部中に入れた方が映えるわよ」
安藤奈々が手を伸ばしたが、葉野言葉は急いで避けた。「今は...今は大丈夫です...」
「ゴちゃん...」慌てて去っていく彼女の後ろ姿を見て、安藤奈々の手は宙に固まったまま。何気なく目を拭いながら、横のカメラに目をやり、自分を励ますかのように言った。「大丈夫よ、奈々!頑張って!ドレスを探しに行きましょう!」