261 葉野言葉が気絶

安藤奈々は葉野言葉を面白そうに見つめながら、「当然、私たちのキャラ設定が被ってるからよ!バラエティ番組で可愛くて清純なタイプは一人で十分。あなたは視聴者投票で選ばれたから簡単には落とせない。だから自分から降りてもらうしかないわ」

「そんな理由で?」葉野言葉は信じられない様子で、焦りからか少し息を切らしていた。この時、葉野言葉は心の中で加藤恋がここ数日飲ませてくれた体力をつけるスープに感謝していた。もしあれを飲んでいなかったら、今頃気を失っていたかもしれない。

「次の競技では一流カメラマンと組んで『ELVA』の撮影をするの。その過程が全て撮影され、視聴者投票で全国トップ10を決めるわ。つまり、10人しか残れないってこと。私の後ろには東皇がついてる。あなたは?加藤恋や東根瑞希が本当の友達だと思ってるの?東根瑞希は私の所属事務所の社長の娘で、今回のオーディションの有力候補よ。キンエンメディアの所属だけど、実は芸能スクープの女王・遊川前子の娘なのよ!」

葉野言葉は突然の情報に息が詰まりそうになった。どうしてこんなことに?友達じゃなかったの?どうして全部隠していたの?

「あなたはきっと落ちると思ってたのに、まさかこんなに多くの人に好かれるなんて。だから早く出て行ってちょうだい!さもないと、この写真が流出するかもしれないわよ~」安藤奈々は手の中の写真を振ってみせた。それは横顔の写真で、今の状況では決定的な証拠となるものだった!

「言わないで、返して!」葉野言葉は壁に寄りかかりながら写真を奪おうとした。

しかし体のバランスを崩して前のめりに倒れ込み、大きく息を吸い込んだ。

安藤奈々は嘲笑いながら「なんでそんなに必死なの?まだ何もしてないのに。あ~もう、あなたのせいで私のネイルが傷つきそう」

床に倒れている葉野言葉を見て、安藤奈々は得意げな笑みを浮かべた。「そんなに欲しいなら、次の回で大人しく降りてくれれば返すわ。ふん、そんなにもろいの?私に同情を買おうとしてるの?」