267 途中で賭けられる

加藤恋が数歩歩いただけで温井詩花から電話がかかってきた。「心配しないで、今病院に向かっているところよ。解決したら戻るわ。投票は始まった?」

温井詩花とスケジュールについて話していると、何か様子がおかしいことに気づいた。彼女は足を止め、警戒して周りを見回した。

「私は県立第一病院の近くにいるの。誰かに付けられているみたい」加藤恋は前方を見つめながら冷静に言った。最近敵を作りすぎて、今自分を追ってきている人が誰なのかさえわからなかった。

来た男の後ろには数人のチンピラがバラバラと付いてきており、手には鉄パイプのようなものを持っていた。彼らは加藤恋の前に立ちはだかり、まるで動かしがたい巨大な山のように、圧迫感を放っていた。

「このクソ女め、やっと見つけたぞ!」加藤恋がようやく目の前の人物の一人が達越の知り合いの支配人、鈴谷光一だと気づいた時だった。