一方、福田鐵は息子を見つめ、愕然としていた。表向きは自分と同じ立場で、すべては福田家のためだと言っていた息子が、裏では株式を売り払い、密かに逃げる準備をしていたなんて、想像もできなかった!
他の者には株式の売却を禁じているのに、自分の息子がこんな真似をしているなんて。これが外に漏れでもしたら、福田家は本当に終わりだ。
「違います...違うんです!お父さん、お婆様...私は...私はそんなことは...」
福田元は震えながら、唐沢行を見た途端、理性を失い、突然彼に飛びかかった。「唐沢、てめえ畜生野郎!これは全部お前が仕組んだんだろう!わざと罠にはめやがって!お前も畜生だ!こんなに信頼してたのに!福田隼人がどれだけの見返りをくれたんだ、あいつのためにここまでやるなんて!」
その行動を見ても、唐沢行は少しも動揺を見せず、むしろ直接彼の足を蹴り飛ばし、地面に倒れ込ませた。狂ったように暴れる福田元を冷ややかに見下ろし、表情一つ変えることなく、まるで眼中にないかのようだった。