310 脅迫メッセージ

加藤恋はそのヘアピンを見つめながら、ますます疑問が深まっていった。あんな女性らしいものは、男性からの贈り物であるはずがない。葉野言葉と研修生の女の子たちの関係も普通で、そんな気前の良い贈り物をするはずもない。となると、残る可能性は審査員からのプレゼントだけ。竜川尚と白井景、須田山監督を除けば、秋山花と両山健しか残っていない。

両山健の人柄を思い浮かべ、加藤恋は眉をひそめた。どうしても言うなら、秋山花が何とかして彼女たちに近づこうとしているのだと信じたかった。

「こんな遅くまで練習してるの...」葉野言葉は小声で話し始めた。心の中では奇妙な感覚があった。温井詩花と加藤恋が自分をたくさん助けてくれているのは分かっているのに、時々二人の間の雰囲気がとても良くて、自分がいる時よりもいない時の方が二人はもっとリラックスしているように感じられた。