323 なんでもできる

福田元は竜川五郎の様子を見て、心の中で恐ろしくなった。こんな時にこんなことをするなんて、竜川五郎は絶対に良からぬことを企んでいるに違いない!

彼は以前、福田家でこれらの人々を散々いじめてきた。今、彼らの家族のことを持ち出されたのに、少しも心配している様子がない。

加藤恋は瞬時に竜川五郎の意図を理解し、少し考えてから頷いた。「私たちの家もボディーガードが必要ですから、もし仲間も一緒に来たいなら、どうぞ来てください!」

その言葉に、その場にいた全員が顔を見合わせた。福田家は財政難で多くの人を解雇し、彼らも今月は給料が半分しか支払われていないことは周知の事実だった。

「俺は...俺は兄貴について行きます...」一人の男が恐る恐る手を挙げ、その後、勇気を振り絞ってようやくその一言を口にした。

「俺も行く。くそっ、福田家なんてとっくに嫌になってたんだ!このクソ野郎をぶん殴って福田家の門前に放り出してやろう。あんな家に付いていくなんて、目が見えてなかったとしか思えねぇ。」

「そうだ、奴らは俺たちを人間扱いしてなかった。兄貴が行くなら、俺たちも絶対についていく。福田家で働けるかどうかなんて関係ない、今のようにあいつに虐められるよりマシだ!」

竜川五郎の数言が素早く皆の賛同を得て、数人がその場で手持ちの物を置き、もう福田元のために働かないことを決意した。

「お前らマジで調子に乗ってるな。本当にそんなことをしたら、先月の給料は一銭も貰えないぞ!」福田元にとって、竜川五郎たちは社会の底辺の人間に過ぎず、生きていけるかどうかも自分次第だった。一ヶ月の給料は彼らにとってはとても重要なものだった。

加藤恋は福田元の情けない様子を見て、思わず笑って言った。「もし給料を払わないなら、労働審判所に訴えることもできますよ。福田若旦那、少しは頭を使ってください。もし頑なに支払いを拒否するなら、私たちは法的手段を取ることもできます。」

「このクソ女め、なんで?俺が何年もかけて育てた連中だぞ。このヴィラはもう手に入るはずだったのに、お前のせいで全部台無しだ。お前は本当に妖女だ...」福田元は殴られた鼻を押さえながら、目に凶悪な光を宿らせ、加藤恋に対する憎しみを露わにした。