第336話 決勝戦の準備

葉野言葉は温井詩花の言葉に驚いて戸惑った:「つまり、私たちの順位が実は不自然だということ?それはかなり深刻な告発よね……証拠はあるの?」

温井詩花がこんなにも率直に話してくれるとは思いもよらず、彼女は何と言っていいか分からなくなった。

「ははは、実は最初は私も確信が持てなかったの。だから家に帰って確認したけど、答えはもちろん否定的だった。でも今のあなたの反応を見て、私の推測は間違っていなかったと確信したわ。私はずっと、コンテストで得た成績が本当に見たままのものなのかと疑問に思っていたの。でも毎回、プライドが邪魔して、そういうことを受け入れるのが難しかった。」

温井詩花の目に諦めの色が浮かんだ:「私は母がどんな人間かを誰よりも分かっているわ。だから気をつけて。このオーディションの結果は多分…」

温井詩花が言い終わる前に、葉野言葉は突然駆け寄って彼女を抱きしめた。

「私、すごく嬉しい。詩花さんがこんなに正直に話してくれて本当にありがとう。実は私、友達があまりいなくて、みんなの投票でオーディションに参加できたのも特別な経験だったの。詩花さんと恋さんは私にとって月のような存在。あんなに明るく輝いていて、他の人が何と言おうと、そこにあって、キラキラと光り続けている!」

温井詩花は葉野言葉の言葉に顔を赤らめ、慌てて遮った:「もう、変なこと言わないの。試合前に私を誑かすのは禁止よ。でも私たちより加藤恋の立場の方が厳しいかもしれないわ。」

「恋さんって...立場が微妙なの?さっき高杉川さんに呼び出されてたけど。」

「あの二人の関係は...」温井詩花はため息をついた。「彼女が戻ってきたら自分で聞いてみて。正直、私も彼女がどんな決断をするか分からないわ。」

二人が話し終えて部屋を出ると、加藤恋がすでにそこで待っていた。

「恋さん...」葉野言葉は急いで口を開いた。このような事をずっと心に留めておくのは、きっとステージにも影響が出るはずだから。

「さっき東皇の人が私を呼び出して、契約を結びたいと言ってきたの。でも断ったわ。この年齢で家庭もあるし、大手事務所と契約する必要はないでしょう。詳しいことは大会が終わってから話すわ。今は最後の公演に集中しましょう。もしかしたら一位から三位まで私たち三人で独占できるかもしれないわよ?」