346 進出2人

午後に現場に戻ってきた時には、加藤恋の片目はほとんど見えるようになっていた。衣装に合わせて、両山健は彼女に半分のマスクを付けさせ、より神秘的な雰囲気を演出した。

夜の収録では司会が秋山花に変わり、彼女が登場すると多くの男性ファンが興奮した。

「皆さん、こんばんは。今日は最後のランキング発表であり、最後の脱落者選出でもあります。2ヶ月に及ぶオーディションもついに幕を閉じようとしています。長い時間を共に過ごし、皆さんの頑張りを目の当たりにしてきました。この段階で誰が去ることになっても寂しく感じるでしょう。前回の審査で、審査員たちは世界トップ3を投票しました。現在の審査員投票の結果は、1位が加藤恋、2位が温井詩花、そして3位が葉野言葉と高橋綾子の同率となっています！」

秋山花は加藤恋の名前を言う時に何気なく一瞥を送り、「彼らは確固たる意志と繊細さ、そして個性的な解釈で観客を魅了しました。一般視聴者の投票を加えた後、順位に変動があるでしょうか？」

「私たち、きっと成功するわ！」温井詩花は葉野言葉と加藤恋の手をしっかりと握った。

「うん...」加藤恋の返事は少し元気がなかった。頂点に立つこと？それはそう簡単なことではないだろう。

葉野言葉も彼らの手を握りしめた。「私たちなら、きっとできるはず！」

秋山花はカードを手に持ち、にこやかに一瞥した。「私は竜川尚とは違って、真ん中から発表するのが好きなの。では2位を発表しましょう。このコンテスタントは、オーディションで多くの困難に直面し、何度も怪我を抱えながら参加していました。」

この言葉に、皆の視線は高橋綾子に向けられ、彼女自身も明らかに驚いた様子だった。

「彼女はステージで最も信念を持った人物と言えます。正統派の優秀な女優と呼べる存在です。彼女の努力は豊かな報酬となって実を結びました！ファンへの愛情は、彼女のファンであることを誇りに思える理由となっています！」

温井詩花は眉をひそめ、小声で加藤恋に尋ねた。「あなたのこと？」

「どう聞いても高橋綾子さんのことよ...」加藤恋は苦笑いした。

「おめでとうございます。高橋綾子さん！表彰台の最初の一人です！」

明らかに秋山花の発表は高橋綾子にとって予想外だった。彼女は加藤恋たちと抱き合い、「私、ステージで待ってるわ！」