358 舞踏会に参加する

温井詩花は大きなあくびをして、加藤恋に特に問題がないのを確認すると、すぐに目を輝かせながら声をかけた。「恋、今夜遊びに行かない?葉野言葉も誘おうよ!」

「メッセージは受け取ったけど、家の方にはまだ報告してないから、遊びに行くのは難しいかも」加藤恋は申し訳なさそうに笑った。実は彼女は賑やかな場所が好きではなく、以前オーディションに参加していた時期は長い間落ち着いて物事をする時間がなかった。

「メッセージ送るだけでいいじゃない?無理なら私が手伝うよ!今日は面白いところに連れて行くから。コンテスト終わってから私たち、ちゃんと集まってないでしょ。今回は断らないでよ」温井詩花は神秘的に目配せしながら言った。

「じゃあ、どこかでコーヒーでも飲む?」加藤恋は彼女の興奮した様子を見ながら尋ねた。

その言葉を聞いた温井詩花は大きく目を回した。「お願いよ、福田奥様。現実を見て!私たちは現代社会に生きているのよ。華やかな生活を楽しまないなんて、何考えてるの!少なくともバーに行くべきでしょ!」

「私はあなたと違って、お金がないわ」加藤恋はバーに行きたくなかったので、そんな言い訳をした。みんな彼女の福田家での立場を知っているから、お金がないという口実なら温井詩花も理解してくれるはずだった。

しかし、温井詩花は急に目を輝かせた。「今回はお金いらないの。私がチケット三枚持ってるから、葉野言葉を誘って三人で行きましょう」

加藤恋は少し驚いて、温井詩花から渡されたチケットを受け取った。そこには丁寧な手書き文字で書かれていた——コスプレパーティー招待状。

「これはどういう意味?コスプレって、普段の生活では演じない役を演じるってこと?」

加藤恋の無邪気な様子を見て、温井詩花は呆れた表情を浮かべた。「恋、本当に現代人?何て言っていいか分からないわ。コスプレっていうのは仮装ゲームの一種よ。このパーティーと社交を組み合わせるのは面白いでしょ。アニメキャラクターでも実在の人物でも、どんな形式でもできるのよ」

「そういうことか。でも私、ダンスは得意じゃないの」

加藤恋はダンスという言葉を聞いただけで頭が痛くなった。「私の体の動きは不器用だし、あなたみたいに上手じゃないわ」