375 偽善者のふり

福田隼人と一緒に車から降りた男は木野登と言い、まさに今回の二人の提携相手だった。

そして地面に倒れているお年寄りは彼の実の父親だった。

「父は清廉潔白な人生を送ってきました。東京小学校の校長でしたが、贅沢な生活など一切せず、むしろ経済的に恵まれない子供たちに寄付をしていたほどです。」

木野登は激しく動揺していた。入院中の父を見舞いに来たのに、こんな状況に遭遇するとは思いもよらなかった。

「この野郎!誰を追い出すつもりだ?」木野登は全身の力を込めて、藤田彰の顔を思い切り殴った。

顔を押さえながら、藤田彰が呆然としているうちに、傍らにいた藤田華が怒り出した。「この役立たず!あなたたち全員役立たずね!よくも私のパパを殴るなんて。」

木野登は冷笑いながら言った。「殴ってどうした?言っておくが、今後二度と藤田家とは取引しない。早く父に謝れ。」