349 他人の不幸を喜ぶ

こうして皆はますます、加藤恋がとても気の毒で、きっと誰かに圧力をかけられて、今のような状況に追い込まれたのだと感じるようになった。

加藤恋と葉野言葉の不当な扱いに憤る人々が増え続け、彼らの境遇を非常に残念に思っていた。

加藤恋が選考から外れたというニュースを知り、福田のお婆様と福田鐵、福田元の父子は大いに喜んだ。彼らは加藤恋にそんな才能があるはずがない、映画に出演なんて夢のまた夢だと言っていた。

数日前、福田のお婆様と福田鐵は福田元が別荘を奪取するのを待っていたが、予想に反して待っていたのは福田元の負傷と、不法侵入の疑いで弁護士から警告状が送られてきたことで、この件を収めるためにまた多額の金を使うことになった。

「ふん、あの一家は以前から加藤恋が少し有名になったというだけで好き勝手やっていたじゃないか」と福田のお婆様は冷笑した。「今回はその代償を払わせてやったのよ!私を軽く見るなんて、とんでもない!」

福田鐵は最近息子が怪我ばかりしていることで福田隼人の一家に非常に不満を持っており、彼らの態度を思い出すだけで怒りが込み上げてきた。「お母さん、今度こそ福田元のために出てきてください。あの子は私たちの中で一番お母さんに忠実な子供です。お母さんの言うことは何でも聞いて、お母さんを頼りにしています!今回の別荘もお母さんに住んでもらいたいと思って…」

「あなたの言うことはわかっているわ」と福田のお婆様は非常に刺々しい口調で言った。「新しい別荘を手に入れたところで何になるの?福田隼人の手元にある会社もたかが知れているわ。今は私たちに返還する準備をしているところよ。その時はあなたと福田元に渡すわ。あの一家には金も権力もないのよ。どうやって私たちと戦うというの?」

「その通りです。今度は別荘を手に入れるだけでなく、彼らに痛い目を見せてやりましょう」

福田桐子は二階から得意げな三人を見下ろしながら、心の中で嘲笑を抑えきれなかった。この馬鹿どもは頭があるのかしら。確かに加藤恋は優勝できなかったけど、今のネットユーザーは誰もが彼女の味方じゃない。もし今、福田家が彼女にしたことが暴露されたら、この家こそ本当に終わりよ!

そう考えていた時、玄関で誰かが入ってきて伝言を告げた。「お婆様、セイソウリキグループの社長秘書の齋藤様がお見えです」