381 絶対に妥協しない

「謝ったところで何になるの?」福田隼人は眉をひそめ、母親がなぜこれほど長い年月を経ても福田家の人々の本性を見抜けないのか理解できなかった。

「お婆様のことは誰よりも分かっているよ。今謝罪しているのは、福田家が危機的状況にあって助けが必要だからで、それに私の名前を利用して協力を得たいだけだ。本心からのものじゃないことは明らかだろう」

福田嘉は急いで諭すように言った。「隼人、何を言っているの?私たちは家族でしょう。家族のことをそんなに悪く考えないで。家族はどんなことがあっても家族なのよ...」

「戻るつもりはない」福田隼人は福田嘉の言葉を遮った。彼は福田のお婆様の今の考えをよく理解していたからこそ、戻って利用されるようなことはしたくなかった。

「この子ったら!」福田嘉は何か言いかけたが、息子の様子を見て、二人の関係をこれ以上悪化させたくなかったので、不満の矛先を加藤恋に向けた。

「見てごらんなさい、隼人をどんな風に育てたの?お婆様が間違いを認めたのに、あなたはまだ何を望むの?年長者にプライドを捨てて土下座でもしろと言うの?」

福田嘉は傲慢に顎を上げて加藤恋を見据えた。「言っておくわ加藤恋、図に乗らないで。あなたが隼人と離婚していないから福田家に戻ってほしいなんて思っているだけよ。今回お婆様は本当に誠意を見せてくれたの。金のブレスレット一対とメノウのネックレス、それに金片4枚も私にくださったのよ...」

ここまで聞いて、福田隼人は母親の態度が急変した理由が分かった。お婆様から贈り物をもらったからだった。

「母さん、欲しいものがあるならそう言えばいい。こういうことで買収されるのも初めてじゃないでしょう。前だってこういう態度だから叔父さんに軽く見られたんじゃないですか」

福田隼人は淡々とした口調で言った。母親がこういう人間だということは、とうに分かっているはずだった。

「それに加藤恋に八つ当たりするのはやめてください。福田家が彼女にどんな仕打ちをしたか、私たちは皆分かっているはずです。だから彼女に戻るかどうかの判断を任せるなんて、そもそも筋違いです」

ため息をつきながら、福田隼人はもう何も言いたくないという様子で、代わりに加藤恋の手を握り、慰めるような仕草を見せた。