早くから温井詩花の助けを求める声が大したことではないだろうと予想していたものの、加藤恋はこれほどまでに不真面目なことだとは思っていなかった!
「お断りします」温井詩花の向かいに座った加藤恋は、まったく躊躇することなく断った。
その時の温井詩花は、よだれを垂らしそうな顔で、隣に座っている葉野言葉を抱きしめながら言った:「ハッピーちゃん、見てよ、この女、なんて冷たくて残酷で情けない人なの!」
葉野言葉は恥ずかしそうに笑いながら、ゆっくりと口を開いた:「実は…私もゲームはあまり得意じゃないんです。特にあなたが言っている『アライアンス』は、一度もやったことがないんです」
オーディションに参加する前まで、葉野言葉の家ではパソコンすら買えなかったのだから、ゲームなんてもってのほかだった。
「だから言ったでしょう?これは大規模なオンラインゲームで、『アライアンス』って言うの。三つの敵対陣営があって、私はバイエルロギにいるの。他の二つはトクシック帝国とユビキチン帝国で、現在一番大きいのがこのユビキチンなの。他の二つの陣営のプレイヤー数を合わせてもユビキチンとやっと同じくらいなのよ」
加藤恋は温井詩花を見ながら、やや呆れた様子で言った:「その説明、もう5回くらい繰り返してるわよ」
「だからお願い……私を助けて!私は本当にこのバラエティ番組に参加したいの。でも母が酷すぎるの。会社に出禁令を出して、誰か私と一緒にこのゲーム番組に参加したら、その人を干すって言うのよ。竜川尚という命知らずが一人の仲間を連れてきただけで、あと二人のチームメイトが足りないの」
「詩花、私たちが助けたくないわけじゃないの。私もこの番組に参加したいけど、本当にゲームができないのよ」葉野言葉と加藤恋は顔を見合わせ、軽々しく温井詩花の頼みを受け入れるわけにはいかないと感じた。
「プレイできなくても大丈夫よ、まずはゲームアカウントを作りましょう~」温井詩花の輝く目を見て、葉野言葉と加藤恋は仕方なく二つのアカウントを申請した。
「この前、夏川晴海の後ろ盾に会ったの。花の話では、その人は東京の高木家の坊っちゃんで、東京の芸能界でちょっと発言力があるらしいわ」