399 温井詩花からのSOS

車から降りる時、秋山心の目は加藤恋の横顔をじっと見つめていて、福田隼人は少し不思議に思った。

加藤恋は秋山心を部屋に案内した後、自分の部屋に戻ると、福田隼人が素早く扉を掴んで一緒に入ってきた。

「今日、何かあったのか?」

福田隼人がこんなに鋭いとは思わなかった。加藤恋は一瞬固まり、福田隼人に背を向けたまま言った。「ロケハンに行ったら、古いビルで心くんに会ったの。心くんが階段から落ちそうになって、私が引っ張り上げただけよ。本当に怖かった。後で唐沢社長と齋藤秘書も様子を見に来てくれて、本当に危なかったわ。」

福田隼人は半信半疑で加藤恋を見つめた。というのも、秋山心が加藤恋を見る目に尊敬の色が浮かんでいたからだ。あの輝くような視線に、福田隼人は不快感を覚えた。

使用人が加藤恋と福田隼人を夜食に呼び、二人が台所に着くと、福田嘉と須田透の言い争う声が聞こえてきた。

「何でそんなことするんだ?言っておくが、これは...ひどすぎる!お前のせいでこの家はいずれ破産することになるぞ!」

「そんなことあるわけない。この前の不動産投資で数百万儲けただろう。今回の工芸品の取引でも儲かるさ」と須田透は反論した。

加藤恋は松本鶴との出会いを思い出した。それも須田透がきっかけだった。思わず注意を促した。「お父さん、工芸品の取引は気をつけた方がいいわ。怪しい人とは関わらない方がいい。騙されやすいから」

須田透は鼻を鳴らした。彼のビジネスはまだ始まったばかりなのに、家族全員が損失を心配している。そう思うと、須田透は顔を上げて加藤恋を諭すように言った。「お前はまだ若くて分からないことが多いんだ。俺がやってるのは正当なビジネスだ。分からないなら口を出すな。今回は絶対に期待を裏切らない」

夜食の席で家族それぞれが思いを巡らせていた。加藤恋は須田透がこの商売に執着しているのを見て、それ以上意見を言わずに寝室に戻った。

福田隼人は書類の処理を終えて寝室に戻ってきた。その時、加藤恋は必死に傷を避けながらお風呂を済ませ、肩を隠せる寝間着に着替えたところだった。

福田隼人がドアを開けると、加藤恋の白い腕が滑らかに輝き、寝間着の裾から太ももが半分以上見えていた。その光景に福田隼人は思わず喉が渇くのを感じ、視線が自然と彼女の体に釘付けになった。