「じゃあ、加藤恋の目薬を取り替えたのは、あなたが認めるということね?」温井詩花は夏川晴海が無関係に加藤恋の化粧台に現れるとは信じられなかった。
夏川晴海の視線は定まらず、この件を聞いて即座に後ろめたさを感じたが、今さら加藤恋を害したことを認めれば、きっと誰も彼女の冤罪を晴らしてくれないだろう。
高木家のあてにならない奴め、夏川晴海には理解できなかった。一瞬前までファンの称賛を浴び、制作陣から最終回の撮影の連絡を受けて雲の上にいたのに、次の瞬間、高木家があんな見られたくないものを暴露するなんて!
「何を言っているのか分からないわ。すぐに加藤恋を呼び出して、用があるの!」夏川晴海は温井詩花を一瞥した。この女はなぜこんなに敏感で自分に執着するのか、加藤恋本人は気にしていないというのに。