424 独断専行

崎本邦夫は一瞬驚いたような表情を作った。「加藤恋?私の目は間違っていないよね。どうしてここにいるの?」

加藤恋も崎本邦夫の出現は予想外で、この時になって初めて崎本邦夫とあの小沢様が知り合いだということに気づいた。

「あなたは出て行っていいです。残りの件は私に任せてください」崎本邦夫は直接提携担当のスタッフに出て行くように言い、加藤恋の向かいに座った。

「崎本社長、それは適切ではないと思います!後で上司が来られたら、私たちは……」

「何が問題なの?それとも私を軽く見ているの?たかが小さな提携も任せられないと思っているの?」

「あ……では私は先に失礼します。崎本社長、どうぞ」

崎本邦夫は会社の副社長なので、誰も彼を怒らせる勇気はなく、この件を彼に任せることにした。そう考えて、彼はすぐに会議室を出た。

須田透は状況を見て非常に困惑した。「小沢様は直接提携の話をすると仰っていましたが、今の状況はどういうことでしょうか」

崎本邦夫は須田透を完全に無視した。先ほど見た限り、この会社は単なる小規模な基礎加工工場に過ぎず、小沢家がこんな相手と提携するはずがないと思った。

しかし崎本邦夫は今、加藤恋に対して別の考えを持っていた。この女は役立たずでバカだが、あまりにも美しい、指原霞よりもずっと魅力的だ!

もし彼女を手に入れられたら……崎本邦夫の顔に突然下劣な笑みが浮かんだ。

明らかに今の加藤恋はこの崎本邦夫の本当の考えに気付いていなかった。一方、須田透はこの崎本氏が便宜を図ってくれるものと思っていた。

「崎本社長は私たちの恋と旧知の仲のようですね。では遠慮なく……」

須田透はにこやかに話し始め、今日の提携の話はすぐにまとまるだろうと考えていた。

しかし崎本邦夫は顔を上げ、作り笑いを浮かべながら、机の上の書類を手に取り、形だけの確認をした後、しばらくしてから非常に困ったような表情で口を開いた。「うーん、御社は我が小沢グループとは釣り合わないように思います。経歴も能力も、かなりの差がありますね」

そう言いながら、崎本邦夫はため息をつき、手にしていた書類を床に投げ捨てた。「大変申し訳ありませんが、我々は御社との提携をお断りせざるを得ません。他社をお探しになることをお勧めします」