その場にいた誰もが橋本様を知っていたため、川島静香の指示に従っていた記者たちは、本当にカメラを下ろしてしまった。
「お金をもらっておいて仕事もしないつもりなの?なんでそんなに怖気づいているの!私は川島家のお嬢様よ。私の言うことを聞かないつもり?」川島静香は幼く純真な顔立ちをしているのに、今は意地の悪い様子を見せていた。
「お嬢様……私たちはお言葉に従いたいのですが、森様が……」
「龍より蛇の方が強い。お嬢様、お金はすぐにお返しします。面倒に巻き込まれたくありませんから」
「私もです。森様、どうか私たちをお許しください!二度とこんなことはいたしません」
玄関を塞いでいた記者たちは急いで道を開け、救急隊がようやく患者を中に運び込むことができた。
「これは……気を失っているんですか?」ある医師が驚いて尋ねた。