587 突然悪化

「どうしてここにいるの?」福田のお婆様は一目で加藤恋を見つけると、思わず大声で叫んだ。

加藤恋は言葉を失った。もし彼女がもう少し早く来ていたら、福田のお婆様は深井須澄の突然の発病を彼女のせいにしていたかもしれない。

「深井取締役のために来ました。福田隼人は今、拘束されていて、彼の証言が必要なんです」福田家の人々に対して、加藤恋は率直に話した方がいいと思った。

福田元はこの言葉を聞いて声を荒げた。「福田隼人の件が深井取締役と何の関係があるんだ。自業自得で報いを受けただけだろう。さっさと退けよ、救助の邪魔をするな」

加藤恋が自分で来るなんて予想外だった。福田元は加藤恋を上から下まで見渡した。福田家の後ろ盾がなければ、加藤恋も福田隼人もくその役にも立たない。

福田家の人々は加藤恋を眼中に入れず、自分たちの車で救急車の後を追った。