586 深井須澄が入院

思いがけず加藤恋は直接口を開いた。「福田隼人がこの件に関係ないことを証明する直接的な証拠があります。」

「無断で侵入して探した証拠を、なぜ信じなければならないのですか?」温井康彦は腕を組んで冷たく言い、加藤恋が今提示した証拠は彼女自身が仕掛けたものかもしれないという含みがあった。

「遺体の解剖を拒否したのは石田家の人々の要求だったのですか?」加藤恋は淡々と尋ねた。

温井康彦は深いため息をつき、「それは石田家の要求です。私たちでも勝手に介入することはできません。それで、何を発見したのですか?」

温井詩花は加藤恋と温井康彦のやり取りを見ながら、顔に意味深な笑みを浮かべた。普段はこんなに話が通じる兄ではないのに。福田家は加藤恋のことをずっと快く思っていないようだし、もし福田隼人と加藤恋が離婚したら...ここまで考えて温井詩花は急に興奮してきた。二十八年間独身を通してきた兄がついに恋を知るかもしれない!