591 福田隼人を保釈する

この言葉を聞いて、福田元はその場で爆発しそうになった。以前の人たちのことは言うまでもないが、今や深井須澄までもが加藤恋の味方をするとは。

福田のお婆様の顔も曇った。まさか加藤恋が深井須澄にも魅惑の藥を飲ませたのか。もし本当に深井須澄まで彼女の味方になったら、福田家は本当に終わりだ。

「一体何があったの?あの加藤恋は病院の院長とは多少の関係があるけど、今は彼女も助けにはならないでしょう」と福田のお婆様は深井須澄と深井夫人を見ながら尋ねた。

深井夫人は表情を引き締め、先ほどの出来事を簡単に説明した。

しかし、福田のお婆様は眉をひそめて言った。「そんなはずはない。あの加藤恋なんて何者でもない。醫術なんて持っているはずがない。きっと小瀧医師から教わったことを使っているだけよ」

「そうです。あの加藤恋は何も知らない無能な人間です。今回も小瀧医師を利用して情報を引き出そうとしているだけです。彼女は福田家のためを思っているわけではありません。きっと情報を漏らして、私たち二家の関係を壊そうとしているんです」と福田元は急いで同意した。深井須澄が加藤恋に良い印象を持つことを恐れていた。

「だったら早く彼女を連れ戻してくれ。彼女の許可がないと小瀧武は私に鍼をうってくれないんだ!私がどれだけ意識を保てるかもわからない」深井須澄の表情は非常に悪かった。以前は彼があの若い娘、加藤恋を過小評価していたのだ。

福田元が何か言おうとすると、福田のお婆様は目配せで急がないように示し、顔にも柔和な笑みを浮かべた。「お兄様、ご心配なく!この件は私に任せてください。私が出向けば、あの加藤恋も何も言えないでしょう」

ここまで話が進むと、深井須澄もそれ以上何も言わなかった。彼は加藤恋だけが自分の命を救えると感じていた。小瀧武の言ったことも、加藤恋のための口実に過ぎないと思っていた。

……

警察署内。

温井康彦の注視の下、加藤恋は携帯電話の録音ファイルを再生した。

福田隼人は、自分の母親が他人と共謀して妻を陥れようとした様子、そのような汚らわしい行為を聞いて、吐き気を覚えた。

福田嘉は福田隼人の表情を見て不味いと思った。まさかこの警察官がこんなに仕事が下手だとは思わなかった。家族の前で録音を流すなんて。