592 福田隼人の失望

「なんて無礼な奴!見てみなさい、誰かが教えていたらこんなふうにはならないわ。まったく福田家の人を目に入れていないのよ」福田嘉は加藤恋の後ろ姿を見て不機嫌そうに言った。

しかし福田隼人は福田嘉の言葉を全く聞き入れず、アクセルを踏み込んだ。そうすることでしか怒りを発散できないかのようだった。

道中、福田嘉はシートベルトをしっかりと握りしめ、なぜ福田隼人がこのような態度をとるのか理解できなかった。

猛スピードで家に着くと、福田隼人は直ちにドアを開けて車を降り、二階の部屋へと向かった。

福田隼人が階段を上るのを見て、福田嘉は急いで後を追った。福田隼人がなぜこれほど怒っているのか分からなかった。

「隼人!今回のことは絶対にお父さんには言わないでね、分かる?」

その言葉を聞いて、福田隼人は足を止め、こう言った。「この件があなたと関係ないと思っているんじゃないの?関係ないなら、なぜ父さんに言えないの?もしかして後ろめたいことでもあるの?」