565 福田隼人が逮捕される

加藤恋は男の話を聞きながら、福田嘉の携帯を確認し、彼女から送られてきたメッセージと福田隼人からの着信を見て、思わず心が動揺し始めた。

「今すぐ車で、一緒にクリスタル別館へ行きましょう」加藤恋の声は少し震えていた。もし福田隼人が福田嘉から送られたメッセージを見たら...深井須澄と石川直が手を組んで福田隼人に対抗するかもしれない!

加藤恋は最悪の事態を想定していたが、福田隼人がこの件でさらに不可解な事件に巻き込まれるとは思いもよらなかった。

福田嘉が目を覚ました時には、すでに深夜だった。加藤恋が録音した男の説明を聞いて、福田嘉は衝撃から立ち直れなかった。

彼女の深井須澄への期待は一瞬にして砕け散った。「そんなはずない!絶対にありえない!深井取締役が私を害するはずがない。きっとあなたたちの仕組んだことよ。深井取締役に会わせて、私を解放して」

橋本様は福田嘉の加藤恋への罵声を聞きながら、突然振り返って凶悪な表情で福田嘉を見つめた。「この売女!今すぐ口を閉じろ。加藤さんがいなければ、お前は今頃どんな目に遭っているか分からないんだぞ。これが事実なんだ、信じたくなくても仕方がない。今はお前の息子も死にかけているんだ。黙らないなら今すぐ気絶させるぞ」

橋本様の脅しに、福田嘉は動揺を隠せなかった。彼女は何度も福田隼人に電話をかけたが、誰も出なかった。

石川直と深井須澄にも電話をかけてみたが、同じように誰も相手にしてくれなかった。

福田嘉の心は疑問でいっぱいだった。一体これはどういうことなのか、なぜこんなことが起きているのか?

……

夜が明けたばかりの頃、温井康彦は病院に現れていた。

「そんなはずない!私の妹がどうして事故死なんてするの?そんな馬鹿なことを言わないで!」石田静は目の前の警察官を見つめ、驚きと信じられない表情を浮かべていた。

「昨夜何が起きたのか、もう一度よく考えてみてください。私たちがあなたを発見した時、あなたはクリスタル別館の近くにいました。その時、一体何が起きたのでしょうか」温井康彦は石田静を見つめながら、静かな口調で話した。

この事件は偶然すぎた。彼は単に石田海香の状況を確認しに来ただけだったのに、クリスタル別館内の目撃者であるはずの石田静が、ちょうどショックで以前の記憶を失っていた。